仕事しなさい!
私が弓枝ちゃんと給湯室で話している間に、
田中さんは手早く支度をして帰って行った様子だ。

弓枝ちゃんも帰り、私も給湯室から出ようと洗ったばかりの急須を手にする。

ドアを塞ぐように須賀くんが入ってきた。

私の心臓は跳ね上がった。


須賀くんは私の顔を見ないように、残ったコーヒーを流しに捨て始めた。
私も何も言わず、後ろを抜けようとする。


「倫子さん」


無視して行ってしまおうかと思った。
でも、さすがに大人げないと思ったし、久しぶりに名前を呼ばれたことが私を立ち止まらせた。


「何?」


「幕張の展示会、三課からは誰が行くんですか?」


私に聞かなくてもわかりそうなことだった。
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