仕事しなさい!
「倫子さん」


「須賀くんが離れてくれないなら」


私は抱き締められたまま、厳然と告げた。


「私がきみの前からいなくなるわ。本社以外に異動願いを出す」


須賀くんが身体と身体の密着を解いた。
私の顔を覗き込む瞳が、どれほど悲しかったか。


「それほど、俺が嫌いですか?」


私は頷いた。

大嘘つき。

自分を嘲笑うように、涙が更に溢れる。

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