仕事しなさい!
翌日の夕方、一時間の残業を終え、18:30に会社を出ると、玄関フロアに須賀くんが待っていた。


「お、偶然ー。倫子さんも今帰り?」


そんな偶然あるかい!

と私が腹の中で毒づく。


「私、帰るから」


「待ってくださいよ。お試し中とはいえ彼氏でしょ?」


私は立ち止まり、須賀くんに近付く。
間近く彼を睨んで一言。


「それ、言うのやめて」


「お試しが終わるまで、誰にも言ってないですよ」


「きみの言うお試しの終わりっていつ?」


「倫子さんが身も心も俺のトリコになった時」


「じゃ、そんな日こないわ」


「またまた、つれないなぁ。ねえ、そういうことは俺を一通り試してからにしてくださいよ」

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