仕事しなさい!
須賀くんの表情が変わった。

悲しみが驚きに変化する瞬間に、
私は彼の抱擁を振りほどいた。


そのまま、私は走った。
全速力で逃げ出した。


繁華街を抜け、大通りを抜け、誰も通らないオフィス街の裏路地まで走って、

ようやく須賀くんが追いかけてこないことを知って立ち止まった。



「あはは……」


涙が止まらない。
そして、思わず笑ってしまう。

馬鹿じゃない?
私。

なんで、最後に余計なことを言ったのよ。


縋れないくせに、気を持たせるなんて最低だ。
許せないのに、愛していてほしいと願うなんて最悪だ。


私は地べたに座り込み、泣いた。

いつまでも大声で泣いた。



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