仕事しなさい!
今日の舞台が終わる。
フィナーレに、私たちは揃って客席におじぎした。

それを合図に、いつも通り客席は解散となる。

すると、客席からひとり、舞台に上がってくる人物がいる。

裾にはけようとしていた私たちは足を止めた。
何事かとざわめく後輩たちの中で、ユウちゃんとキョウカちゃんが私の背を叩いた。
二人はまるで、私を応援するように頷く。


私は物凄く戸惑っていた。


彼、……須賀渡の突然の行動に。


舞台の上で私と彼は向かい合った。

帰りかけた観客や、散歩中の人たちが足を止める。
視線を感じる。


「倫子さん」


須賀くんが私を呼んだ。
それから私に一歩近付く。
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