仕事しなさい!
そのまま、たっぷりお互いの熱を分け合うと、顔を離した須賀くんが言った。


「とりあえず、今日はもう離したくないんですけど……いいですか?」


その顔が見事な困り顔で、私は思わず笑う。
それから、初めて……、

生まれて初めて、私は自分から好きな人にキスをした。


「私も今日は離れたくないんだけど、いい?」


須賀くんが
「うわぁぁあ」
と叫びながら私をぎゅうぎゅう抱き締めてきた。


「ちょっと!痛い!死んじゃう!」


「俺も死んじゃいますよ、嬉しすぎて!」


「死なないで、ずっと一緒にいて」


私たちの言葉遊びはいつまで経っても終わらなさそうだった。
しばらく離れていた分、好きを自覚してからの分。



31歳。
ずっとひとりかと思っていた。
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