仕事しなさい!
「倫子さん、具合どう?」


きたっ!
やっぱりあのまま引き下がるやつじゃなかったか。
振り返ると須賀くんが、私のコートとバッグを持って立っていた。


「酔っちゃってるみたいだし、俺タクシーで送りますよ」


「だ、大丈夫だよ。まだ電車あるし」


と言いながら、よろける私を再び藤堂さんが支えてくれる。


「ほら、ひとりじゃ危ないよ」


「おまえと一緒の方が危ないんじゃないのか?」


藤堂さんがからかい半分、本気半分の声音で言う。
須賀くんは馬鹿にしたみたいに笑った。


「俺、不自由してないんでぇ。酔っぱらった女の子に変なことはしないですぅ」


反論を許さずに、須賀くんが私の身体を藤堂さんから引き取った。
肩を抱かれ、大通りまで引っ張って行かれる。
すぐにやってきたタクシーに、私は押し込まれてしまった。



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