仕事しなさい!

3




須賀くんが運転手に短く行き先を告げ、タクシーは滑らかに発進した。

私は酔いとそれに伴う眠気でぼんやり。
早く帰りたい。この面倒な男から離れたい。


「覚えてます?昔、倫子さん、酔っぱらった俺をこうやって送ってくれたの」


「え?」


「うわ、忘れてるし。3年半前。納涼祭で酔った俺を、介抱してタクシーで送ってくれた。ホントに覚えてないんですか?」


言われてみれば、彼が新人時代にそんなこともあった気がする。

でも、私が覚えてる須賀くん新人時代エピソードは、
入社1ヶ月で同期の女子5人全員と関係を持って、全員を振って、そのうち二人は2ヶ月で退職したという……。
伝説的なタラシエピソードのみだ。
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