仕事しなさい!
二人で不忍池に沿って、上野駅まで歩く。
どちらも無言だった。


謝らないぞ。

私は心中誓う。

絶対、謝らないぞ。
そりゃ、ノコノコついてったのは私だけど、信用させておいて騙し討ちなんて酷すぎる。

本気で、
本気で怖かったんだから……!


須賀くんが立ち止まった。大通りに戻り、缶コーヒーをふたつ買ってくる。
ひとつを私の手にのせてくれた。


「倫子さん」


「……なに?」


「ゆうべは怖い想いさせてしまって、すみませんでした」


須賀くんがあらためて頭を下げた。
腰から折った最敬礼だ。

私は驚いたけど、ぐっと気合いを入れ直す。
ここで、甘い顔をしてなるものか!



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