キミの声とわたしの心と

「いや～？別に深い意味はないよ？うん、いやホントに。」
あ、パパの目が右へ左へ泳いでる。
「………何かあるんだね。」
「え!?いやいやいや、えぇ!?何も無いってぇ～。疑り深いなぁ、鞠那は。」
「動揺しすぎでしょ。」
「まあまあ、久しぶりなんだからいいじゃないか、なっ!!」
「いや、良くねぇよ。」

そんなこんなで結局イタリア。
「パパ、どこに行く予定なの？」
「ん～？秘密。」
なんだこのオッサン。

で、着いたのは只ならぬ雰囲気のでっかいお屋敷。
「パ、パパ？ここに入るの？」
「そうだよ。あ、ちゃんと礼儀正しくしなきゃダメだからね？」
パパが真剣な表情で言う。
「な、なんで？」
「入れば分かるよ。」
んなアホな～。

中に入って、まず私の目に入ってきたのは、優しい感じのハンサムさんだった。
「お久しぶりでございます。沢木様。」
えぇぇぇぇ!?何でそんなに丁寧なの!?
すると、沢木と呼ばれた男は、ふんわりと微笑んで言った。
「久しぶりですね哉貝さん。名前でいいって、いつも言ってるじゃないですか。」
「いえ、そういう訳には。」
「お堅いなぁ、哉貝さんは。」
いや、いつもはお堅くないよ。
めっちゃバカだよ。