憂さ晴らしの先に貴方はいない
ああ、いい気味。




 あなたの好みがロングヘアーだって言っていたから、私は髪の毛を長く伸ばすことにしました。それに色も染めて今どきを気取ってみようと背伸びをしたの。

 お化粧だってたくさん研究したわ。
 あなたの隣にいても、貴方が私をまわりに見せびらかせるくらいの女でいたかったから。

 あなたは浮気を当たり前のようにして、しかもそれを上手く隠した気になっていましたね。けど、悲しいことにそれは違います。私には全てわかっていました。
 それでも、私は信じてあえて何も言いませんでしたが、そろを一度私は咎めたことがありました。それまで堪えていたものが、ふっと言葉となってしまったのです。


 ああ、ごめんなさい。
 浮気の一つや二つは笑って許すべきというものが彼女だといいものだとは、知りませんでした。
 だから、私の咎めた言葉にあなたは怒ってしまって、私には手におえずにただただ、それが過ぎるのを待ちました。そして、そのあとに決まってあなたは私を抱きしめました。

 ごめん。今のは違うんだ、と。



< 1 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop