憂さ晴らしの先に貴方はいない





 女の名前なんて、所詮飾りなのです。


 いくら携帯の表示が私の名である友里ではなく、香織であったり沙紀であったりしても動じてはいけませんでした。

 浮気の一つや二つはと、ぐっとこらえます。怒られるよりも、笑っていて欲しかったのです。そして見なかったふりをして私は笑いました。
 そうすればあなたは逆ギレをすることなく、私と大人しくデートをしてくれます。
 手を繋いだりしてくれて「落ち着くなあ」といってくれたりしました。
 私が、一番落ち着ける場所であったと自分を騙しました。




 私は男性を知りませんでした。
 捧げてしまったものは、もうどうしようもありません。

 あの時は私は貴方に大切であったし、貴方も私を、その行為とかの目的だけであつまたとしても見ていてくれていましたね。

 今思うと、とてもおかしい。
 そしてああ、なんと嘆かわしいのだろう。

 全て夢から覚めると馬鹿みたいで、愚かで、私は私がかわいそうになりました。そして、貴方と過ごしたことなどを、私と肌を重ねたというそれに、うちひしがれ、どうしようもなくて、私は死にたくなったこともあるのです。
 

 出会わなければ良かったのです。
 あんな、人。


 私の中には、後悔ばかりが残って、今も血を流しています。


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