雨のち晴れ【短編】
「でねっ、あの日、時雨くんのひいおばあちゃんが亡くなったんだって。田舎の方だったから連絡もできなくて、謝ろうと思ってくれてたらしいんだけど、ほら私、露骨に避けちゃったじゃん?だから言えなかったんだって。」
「そっかぁ~!大変だったね、頑張ったね!これからは幸せになるんだよ~?」
放課後、晴の話をたーっぷり聞いた。
「梨紗ぁー!ありがとーーー!時雨から聞いたよ!ありがとう!私のために!次は梨紗の番だからねっ?」
「えっ、私!?」
「うん!私も協力するからねっ!」
「頑張ろうかなぁー!」
「うんっ!頑張れ~!」
とは言ったものの…
「あっ、桐ヶ谷先輩!」
「梨紗ちゃん!おはよう。」
本人を前にすると…言えないよ~
「あっ、あの!桐ヶ谷先輩は、私のことどう思いますか?」
「ん?え、可愛いって思うよ?」
かぁぁぁっと暑くなる。
もう、さらっと言っちゃうんだもんな~
「じゃあ、梨紗ちゃんは??」
「えっ?」
「俺のことどう思う?」
「えっ、あの、えっと!す、す、素晴らしくかっこよくて、後輩思いのいい人だなって!」
「え?」
「だって、ここで初めて会ったときから先輩はいっつも後輩のこととかチームのことを考えてて。真面目な人だなーって思ったんですよ?優しい人だとも思いました。」
「梨紗ちゃん。」
「だからそんな先輩を私は好きになったんですよ。優しくて、真面目だから。」
ん??
待って、私今なんて言った?
「え…??」
「あっ、いやっ、あのっ、ご、ごめんなさい!失礼します!!」
最悪。
走りながら叫びそうになる。
自分でもびっくり。
なんでこんなにさらっと言っちゃうの!?
てか言えちゃうもんなの!?!?
「あ、梨紗!ごめん、今日、時雨………梨紗!?どうした?なんかあった!?」
「ごめっ、晴。私、私、こ、告ちゃった。」
「こっ告ったぁぁぁぁぁぁぁぁー!!!?」
「晴っ!!声でかい!!!」
幸い放課後だったから、生徒はいなかった。
「ごめん!でも、どういうこと!?告ったって告白したの??梨紗が!?」
「うん。」
「なんて言ったの?」
「覚えてないけどその場の勢いで…」
「梨紗すごっ!で、返事は??」
「聞いて…ない…」
「頑張ったね~!梨紗!お祝いしよーよ!!」
「えっ、お祝「梨紗ちゃんっ!!!」
教室に入ってきたのは先輩。
「え、なんで…」
「あっ、私!時雨と約束があったんだった!梨紗、また明日詳しく聞くから!!」
「ちょ、晴!?」
「りさちゃん。」