雨のち晴れ【短編】
「あ、はい。」
心臓がバクバクしてる。
緊張してのどがからから。
なんて冷静に考えてる私はすごいのかも?
「さっき言ってくれたことなんだけど。」
あ。
わかっちゃった。
「せっかく言ってくれ「待って下さい。好きってその好きじゃなくて!尊敬してるっていうかそういう好きです!!」
きっとこのままだと私はふられる。
今の私に笑顔でそうですかなんて言えるスキルはないから。
きっと先輩を困らせてしまう。
それなら…
この想いを心の中にとどめておきたい。
「え!?りさちゃん逃げるからてっきりそういうことかと…!あーおれ恥ずかしい人だね。」
照れくさそうに参ったなぁといいながら頭をかく先輩に胸がきゅーっと締めつけられる。
好き。なのにな…
この想いは届かないのかな?
「じゃあ、私帰りますね。また明日!」
早くその場から逃げたくて。
でも逃げてるなんて思われたくなくて。
自然に普通にその場から逃げる。
「おう!じゃあな!」
優しげな先輩の笑顔。
そんなの…
今は見たくないよ…。
だって先輩の好きな人にはもっといい笑顔見せてるんでしょ?
もっと優しくしてるんでしょ?
それなら、中途半端に優しくしないでよ。
なーんて!
彼女でもない私がこんなこと考えるなんてあほらしい!
いつか絶対先輩よりいい男見つけるんだから。
ま、帰ってから目が腫れるほど泣いたんだけどね。
「そっかぁー。でもよかったの?想いを伝えなくて。後悔してない?」
励ますように頭をぽんぽんと優しく叩いてくる晴には本当の気持ちを打ち明けた。
本当はまだ好きなこと。
でもあきらめる覚悟はできていること。
そして…
今さらだけどとても後悔していること。
「うんうん。そうだよね。あきらめなきゃなって思うのに好きなんだよね。」
「そうなの!もっといい男探すとか思ったりしたけどやっぱダメ。先輩の笑顔見ただけで好きっていう気持ちが溢れてくるー!私きもい!ごめんね、晴。こんな話「何言ってんの!?私が辛かったときは梨沙が相談に乗ってくれたから今の私がいるんだよ?」
「晴ーーー!大好きーありがとーーー」
晴の笑った顔って最強。
だって私はこんなにも安心できる。
前向きになれる。
全部全部、晴のおかげだね。
「わっ、急だなぁ。私は梨沙に後悔してほしくないよ。でも梨沙がどうしてもって言うなら、後悔する道でいいと思う。どうしたって結局は決めるのは自分だから。」
真っ直ぐに見つめてくる晴。
いつだったか、晴が私に言ってきた。
梨沙ってすごーく素直だよねって。
素直になってみようかな。
後悔だけはしたくない。
だって好きだから。
「晴、私もう一回告白する!振られたときは慰めてよね!」
「梨沙。頑張れ。しかたないから慰めてあげるよ。うそうそ!精一杯ぶつかってきな。」
ありがとうと言って私はいつもの場所に向かう
水道のあるこの場所。
来てるかな?
あっ!
「せ「桐ヶ谷くん。こんなとこに呼び出しちゃってごめんね?」
「大丈夫だよ。どうしたの?」
告白現場??
あの女の人。
きっと桐ヶ谷先輩と同じ学年だ。
美人だな。
優しそうで清楚で。
きっと先輩付き合うんだろうな。
「あのね。…好きなの。桐ヶ谷くんのこと。もしよければ付き合ってもらえないかな?」