雨のち晴れ【短編】
「うひゃー。目、腫れてるー。」
あはは~と、乾いた笑いを洗面所でしているとおばさんが入ってきた。
言ってなかったかもしれないけどうちには両親がいない。交通事故で5年前に2人とも。
だからお母さんの妹夫婦にお世話になっている
おばさんと、おじさんには子供がいなかったからとても喜んでくれている。
「晴、おはよう。目、どした?腫れてるね。おばさんの魔法かけてあげようじゃないか!」
キャリアウーマンって感じのおばさんはサバサバしてて隠し事をしないところが好き。
「魔法~?あははっ、小学生じゃないんだよ~もう、おばさん!」
「いいから、いいから!目、つぶってー」
「えぇー?もー」
目がくすぐったくなる。
「はーい!もういいよ!」
「ん。うわぁー!目、普通になってる!!」
「魔法でしょ~?ほら、朝御飯食べに行くか!けんちゃんが作っててくれてるから!あ、晴。恋愛は自分を変えてくれるよ。それが悪いことであったとしても。大事なのは真実を知る勇気だよ。まぁ晴は大丈夫よね?」
「おば…さぁん!大好き!!頑張るね!!」
ぎゅっと抱きつく私に驚きつつも抱き返してくれるおばさん。
「おぉー。頑張れよ~」
「はっちゃん、なにしてんだよ?ばばぁも、早く来いよ。」
「ばばぁ言うなっつーの。さ、晴行こ!」
「うん!」
朝ご飯を食べてるとけんおじちゃんが心配してくれた。
いつも通りに弁当をもらうとけんおじちゃんがこっそり教えてくれた。
どうやら、お兄ちゃんが作ってくれたんだって
「いってきまぁす!お兄ちゃん、ありがとね!大事にたべます♪」
「ばかっ、し、知らねぇよ。けんじぃのアホ!言うんじゃねぇー!」
複雑な家庭だとは思うけど、暖かい家族だと思う。
喧嘩もたくさんしたけど、感謝してる。
「「おはよー」」
「おはよう。」
「晴ぅぅぅー!おはよぉぉぉー!」
「梨紗、おはよう。」
「にひひっ」
「どうしたのよ?」
「晴も泣けたんだなーって思えちゃって!」
「え、なんで……?」
隠してるはずなのに……
どうして?