雨のち晴れ【短編】
雨から晴れに…?
「ふふ!マブタチでしょ?気付くもん!」
「梨紗ぁ。もう、梨紗かわいい!」
「えぇー?急にどうしたの??」
「かわいい!先輩だって惚れちゃうよ!」
「そっ、そんなことっ!!ある…といいなぁ」
ははっと笑いあう。
正直で素直で真っ直ぐな梨紗。
いつだって梨紗は私に元気をくれる。
「梨紗ぁー」
ぎゅーっとハグをしあって先生がきたので席に着く私たち。
そして、あっという間にお昼になる。
「お弁当♪お弁当♪」
妹さんの運動会ですか?ってぐらいのお重をもった梨紗から屋上にいかないかと誘われて屋上にきた私たち。
「今日、三年生修学旅行じゃん?だからね、屋上使い放題なんだよー!二年生の特権だね!先輩がいないときは使えるっていうね~」
屋上は晴れ渡っていてとても気持ちがいい。
「気持ちいいね~!」
「みんなは寒すぎるからって、風が吹かない中庭にいるよ~!だから私たちだけっ!」
確かに少し寒いけど別に大丈夫!
「ご飯、食べよーよ!お腹空いちゃって!」
そうだねー!なんて言いながら弁当をあける。
「わぁ~!晴のお弁当きれいだねー!」
料理下手のお兄ちゃん。
きっと、一生懸命作ってくれたんだろうな。
「うっく。ひっ「ちょ、晴!?どしたの?」
「これーっ、実はっ、おにーちゃんがぁっー」
ボロボロ泣いちゃって、何を言ってるかわからない私だけど梨紗はうんうんと相づちをしながら聞いてくれた。
「───────つまり、お兄ちゃんが作ってくれたんだ?優しいね。」
「うぅー。おいじぃー。もぉー時雨くんのことはぁーあぎらめる!!」
「えっ?晴??」
「うっ。もーばかぁー!だっ、大好きだったのに!なんでなの?別れるんならー!いいなさいよ!別れてくれっ「晴、晴!!」
「なによ!ふざけんな!期待させんな!ばかぁ嫌い!だいっきらい!なのにぃぃーーーー!大好きなんだか「晴っっ、やめなー!」
「今は叫ばせて!!時雨くんのバーカ!大好きだよーー!でも、それは今日でおしま「晴っ、いるから!!時雨くんがっっっ。」
厄日。
今日のことをきっと厄日っていうんだね。
いつもはこんなこと絶対にしないのに。
絶対叫んだりしないのに。
「今の……マジで?」
「…時雨くん………。」
「本当に?」
「ごめっ、ごめんね、違う、違うか…ら。」
おばさんの声が頭の中でこだまする。
────大切なのは真実を知る勇気
「なんだ、冗談「本当だよ。本当。私はまだ大好き。だけど時雨くんは…違うよね?」
「俺は「いいの!わかってるから!!ごめん、なんか私、重いよね。ごめんね。彼女さんいるんだもんね。でも、だからこそ、振ってほしかったの。ハッキリしたかったの。なのに、振ってくれないからさ。期待しちゃって、本当バカみたいでさ。」
いつの間にか梨紗は側にいなかった。
「俺さ………………………………彼女とかいねぇよ?」
「うん、ごめんね。本当にごめんなさい。え?って、えぇ?ええぇぇぇぇぇぇぇ!!??まっ待って!待って待って待って!!」
「うるさっ。晴って、そんな声だしたりするんだな?ふっ、うける。」
「いやいや、待って。じゃあ、あのお店にいためっちゃくちゃ可愛い子は誰?腕組んで、映画見に行った子は誰???」
「は?腕組む??映画?あー、晴人じゃね?」
「晴人って??」
「うん、兄貴。」
「はぁぁぁぁぁぁぁ!?!?あ、兄貴!?いやいやいや、騙されないよ。」
「兄貴は女装が趣味なの。悪かったな。」
「なっ!?じょ、そう??」
こんな展開あり?
お兄さんだったなんて。
そ、そういえば!!!
「家では普通の格好してる??」
「うん、たぶん。」
いつだったか家に行ったとき、お兄さんを見たような…