雨のち晴れ【短編】
私はずっと雨ばっかり 梨紗side
私の嫌いな人?
そりゃー
愛しの晴を泣かせる時雨くんでしょ。
私の好きな人?
そりゃー
そのーなんだ?あっ、晴でしょ!
あと…桐ヶ谷先輩…でしょ。
桐ヶ谷先輩と出会ったのは一年生の秋。
二年生だった先輩は副キャプテンになったばっかりで。
私は花に水をあげるために水道のところにいた
そこに先輩は来て、なんだか落ち込んでそうだったから声をかけたのがきっかけ。
先輩は後輩思いのいい副キャプテン。
だからたくさん悩んでて。
それを聞いて、ときには提案してみたり。
そんな関係。
冬になるとさすがに先輩も来なくなったけど、学校内で会ったときは手を振ってくれたり、挨拶してくれたり。
「うぅー。」
だから僕のシンデレラは許せなかった。
だって、映画の中くらい夢見させてよー。
晴の提案でご飯を食べて外にでたら奴がいた。
そして、可愛い女の子が出てきて彼の腕をとるもんだから晴は今にも泣きそうで。
「晴っっ!!!」
私はなにもできなくて。
後ろ姿を見ることしかできなかった。
「晴……?」
やつがその言葉に反応する。
「ちょっと、そこの!!あんたさ、晴と付き合っときながらなに?他の女と付き合ってるわけなの?へー、なら別れてもらえる?晴は可愛いの。あんたなんかよりいい男がいるんだから。わかってる?」
「うるせーよ。てか、こいつは俺の兄貴。彼女とかじゃねーし。」
「はぁぁぁ?あんた言い訳下手くそ。そんな言い訳通用すると思っ「うわー。君可愛い。ねぇそのメークそうとう研究したっしょ。」
「ぎゃぁぁぁぁー!来ないで変態!」
可愛い彼女はとうてい女とは思えない低い声で話しだした。
「変態って~!ひどくなぁい?あなたたち騙されてたくせにぃ~」
ボカッ
「いったぁぁい。何すんのよー!」
「ふざけんじゃねぇよ。誰のせいで晴がこんなにつらい思いしてると思ってんの?ねぇ、本当にうざいよ。時雨くん。だって晴はあんたじゃなきゃダメなんだから。」
「はぁっ?」
「時雨くん、まだ晴のこと本気で好きならチャンスを一回だけあげる。明日の昼休み。屋上に来て。じゃあ、バイバイ。」
私がなんだかんだ言ったって晴は奴のことをすっごい好きなんだから。
晴には幸せになってほしいから。