俺様常務とシンデレラ

ぎゅうっと唇を引き結んで常務を見上げる。

彼は私の言いたいことを理解すると、途端にムスッとした、拗ねた表情になってヒョイっと顔を背けた。


「だから、言っただろ。俺だって、お前のこと……」


言い淀む常務をじーっと見つめる。

本当に、"秘密のシンデレラ"がただの言い訳なら。

本当に、私のことをそんな風に思ってくれているなら。


確かな言葉を、私にちょうだい。


常務は引かない様子の私をチラリと見ると、苦い顔になって唸る。



だけど覚悟を決めたようにひとつ息を吐くと、真剣な表情でまっすぐに私を見つめた。

私は息を飲む。

時間が止まる。

漆黒の瞳に吸い込まれる。




「好きだ、絵未」




私はその呪文に震えて、両手で顔を覆い隠した。


う、うわぁ……!

ズルい! なにそれ! 反則!

『好き』に加えて初めての名前呼びとか、ダブルパンチ!!
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