俺様常務とシンデレラ
わー! わー! どうしよう!
これってお姫様抱っこだよね!?
なぜ!?
「なっ、じょ、常務! なにを……!」
常務は私を抱き上げてスタスタと部屋の出口に向かって歩き出す。
私があたふたしながらも常務の首に腕を回して落ちないように抱きつくと、彼は不敵に笑って私を見下ろした。
「好きだろ? こういうの」
すっ、好きだけどーーー!
むしろ大好きですけど!
でも重いですよね!?
脚とかお腹とかぷにぷにしてますよね!?
常務は私を抱き上げたまま部屋を出て、さらに広いリビングルームを突っ切り、奥の方にあった部屋のドアを器用に開けた。
私はその部屋が何のための部屋かを理解した瞬間、シューッと頭から湯気が出るほど、頬をカッと熱くさせた。
「あ、あの、まさか、今から……?」
「心配するな、明日は休みだ。どっちの時間もたっぷりある」
ちょ、ちょっと待って!
"どっちの時間も"って何!?
何と何の時間なんですか!?
常務が私を連れて来た部屋は、照明はさっきよりも薄暗く抑えられ、壁には一面にカーテンが引かれている。
そして部屋の中央には、でーんと存在感たっぷりの、キングサイズのベッドが置かれていた。