俺様常務とシンデレラ
「あの、で、でも、女の子にはいろいろと準備が必要でして……」
「俺が待てないから却下」
常務はビシッと私の要求を撥ねつけ、その口調には似つかわしくなく、そっと私をベッドに横たえる。
「あ、う、じゃ、じゃあせめてシャワーを……」
いそいそと身体を起こしてベッドを出ようとすると、肩を掴まれ、もう一度背中がベッドに沈み込む。
「じゃあ、まずは俺がここで脱がしてやるよ」
むきー!
なんですか、その腹黒い笑い!
絶対脱がすだけで終わらせる気がないですよね!
常務は白い蝶ネクタイを外し、ジャケットを脱いで、ベッドの下に適当に放り投げた。
「小っ恥ずかしいことを言うのは苦手だ。その代わり、不安になる隙もないくらい、ここでたっぷり可愛がってやる」
常務はそう言って私に覆いかぶさり、おでこに唇を押し付ける。
薄暗い部屋の中で、私を捕らえる漆黒の瞳。
その目に見つめられて、剥き出しの肩を常務の指先がなぞるだけで、ゾクゾクと身体中に甘い毒が回り始める。
その仕草や低い囁きに、私は瞬時に悩殺されて、常務にぎゅっと抱きついた。
「どうしよう。かっこよすぎて心臓爆発しそう……」
「ふん。なんなら、お前の好きな"王子様モード"とやらになってやろうか」