俺様常務とシンデレラ

「よっ、と」

「きゃあ!」


王子様は突然私の方へ両手を伸ばすと、腰を掴んで抱え上げ、立てた自分の右脚の太ももの上に私を座らせる。

私はとっさに彼の両肩に手を置いて、落ちないようにバランスを取った。


「あっ、あのあのあの……!」

「怪我はないみたいだけど、痛いところとかはない?」


王子様は大きな手のひらと意外と力強い右腕で私の腰を支えながら、近くに転がっていた私のハイヒールに手を伸ばす。


「は、はい……大丈夫です」


よかった。

あのハイヒール、この前なけなしのバイト代で奮発した、お気に入りだ。


王子様はパステルイエローのハイヒールを手に取り、私の左足にそっと履かせてくれた。



そのまま今度は一緒に転がっていた私のバッグに手を伸ばそうとして、動きを止めた。



もう一度私の足元に視線を落としてから、ゆっくりと顔を上げて、じっと私の顔を見つめてくる。

え、なに?

私、なんか変ですか?

そりゃ、あなたのその整ったお顔に比べたら、さぞかしちんちくりんな造りに見えるかもしれないけど……。
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