俺様常務とシンデレラ
「あっ、そうだ!」
いいこと思い付いた!
私は小さく揺らしていたブランコを止めて、自分の左足首に付いていたアンクレットを外した。
立ち上がり、ブランコに乗るエレナちゃんの前にしゃがみ込む。
「これ、エレナちゃんにあげるね」
「え?」
私はエレナちゃんの白くて綺麗な手を取って、その中に、小さなリボンのモチーフがついた、ピンクゴールドのアンクレットを置いた。
「え、いいんですか?」
「うん、いいよ。それ、たぶんお母さんのだし。子どもの頃にもらったんだと思うの」
「え……そ、そんな大事なもの、もらえないですよ!」
慌ててアンクレットを返そうとするエレナちゃんに、私は笑って首を振った。
もし、本当に"運命"というものがあるとすれば。
神様が私とエレナちゃんを会わせたのは、このためなんじゃないかと思うんだ。
「リボンのモチーフにはね、好きな人と"永遠に結ばれる"って意味があるんだって、ある人に教えてもらったの」
「で、でも……」
私はエレナちゃんの手の中からアンクレットを取り、彼女の華奢な足首にそれを付けてあげた。