俺様常務とシンデレラ

私を抱き上げる王子様は、黒い髪と、街の明かりを映してキラキラと光る魅力的な黒い瞳をもっている。


見つめられれば吸い込まれそうなその瞳は、くっきりとした二重としっかりと生え揃った長いまつげに囲われていた。

高い頬骨にまっすぐな鼻筋、それからシャープな顎のラインと形のいい唇。





私はとっさに、自分の丸い頬が恥ずかしくなった。

今は酔いと照れも手伝って、うんと赤くなっているだろう。


こんなにキレイな瞳に見つめられて、私の唯一の自慢であるクルンとしたまつげもへなへなと元気をなくしそう。



私はその恥ずかしさを誤魔化すように、曖昧に笑って首を傾げた。



「きみ、名前は?」


真剣な表情の王子様にそう聞かれて、慌ててしどろもどろに答える。


「えっと、さ、さくらえみです。うーんと、大佐の"佐"に、倉庫の"倉"……それから、お絵かきの"絵"に、未来の"未"です」

「佐倉絵未……」


王子様の低く魅力的な声に名前を呼ばれて、ただそれだけなのに身震いする。


「どこで働いているの?」

「えっ!? あー……、えーっと……」
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