俺様常務とシンデレラ

常務は私の腰に手を添えたまま、狭い部屋の中をまるでワルツを踊るかのようにくるくると回って移動する。

部屋がぐるんぐるんと回転して、ハッと気付いたときには小さなベッドに押し倒されていた。


驚く間もなく、常務がすぐに私の首すじに唇を寄せる。

その温度を鎖骨に感じたとき、さっきのキスで燻られた種火が一気に燃え上がって、私の身を焦がした。



大きな手のひらがスーツの上を滑っていくだけで、常務の甘い毒が注がれ、触れられたところからふにゃふにゃと溶けていきそう。

常務の手が私のジャケットの下に滑り込み、ブラウスの上から肌を包み込まれて、私は小さく声を上げた。


「あっ……あの、電気を……」

「ん? ああ、別にいいだろ。俺しか見てないんだし。お前の可愛いとこ、全部見せろ」


私の胸元に唇を寄せながら常務はサラリとそう言って、私の鼓動をさらに速める。


ぐぬっ……!

なんか前回も思ったんですけど、あなた妙に手慣れてません!?

いつもは甘い言葉なんてくれないくせに、こういうときだけちゃっかりしてるし、意外と手がはやいと言うか……。


そりゃあ、そんだけかっこよくて30歳にもなれば山ほど経験はおありでしょうけど、大抵の女性の前では王子様モードなことを考えれば、なんだかものすごく違和感がある。


そのスキル、どうやって身につけてるの……?
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