俺様常務とシンデレラ
そして遂に堪えきれなくなった私は、手の中にあるものにガブリと噛み付いた。
私は理久さんの足元にうずくまり、もう四半刻にも渡ってコレのマッサージをさせられている。
「おい! やめろ! 歯を立てるな!」
普段は人には見られないところだというのに、ムダに綺麗な理久さんの足の裏だ。
私はこのベッドの上でずーっと足裏の気持ちいいツボがどこにあるかを指導され、どれほどの力で押すのがいちばんいいのかを教え込まれ、腕がパンパンになるほど足裏マッサージをしていた!
理久さんの足は臭くないしとても清潔そうだったので、私は怒りに任せて右手の中にある足の親指に噛み付いてやったのだ。
「アホかお前は!」
腹筋をつかって勢いよく上体を起こした理久さんが、私の首根っこを掴もうと手を伸ばしてくる。
「だって! もう腕が限界なんですーーー!」
私はその腕から逃れようと、理久さんの両足首を掴んでむちゃくちゃに暴れる。
『ベッドの上で』って言ったのに!
確かにベッドの上だけど、こんな足元で団子虫のように丸まって足裏のマッサージだなんて!
いや、そりゃ理久さんとどうにかさせられるよりいいけども!