俺様常務とシンデレラ
うそ!
どうして常務がここに!?
「ちっ……小鞠か……」
理久さんが私の疑問に答えるように、いまいましそうに小さく呟く。
あ、そうか……。
きっと小鞠ちゃんが、私がこの家に来ていることに気付いて、常務に連絡を入れたんだ。
理久さんは掴んでいた私の両手と頬を放し、上体を起こした。
私の脚の上に跨ったまま、常務のほうを向いて皮肉っぽく口の端を歪める。
「前々からきな臭いやつだと思ってたぜ。それが本性か?」
私はハッとして常務を見つめた。
そうだ。
常務ってば、思いっきり本性曝け出してるじゃん……!
い、いいの? 大丈夫なの?
「おい、聞こえなかったのか? 絵未から離れろって言ってるんだ。今すぐだ」
ハラハラしているのは私だけで、常務の身体からは怒りのオーラがヒシヒシと溢れ出ている。
理久さんがどこか楽しそうに鋭い瞳を光らせてベッドからゆっくり下りると、ドアの前に立っていた常務が大股で近づいてきた。