俺様常務とシンデレラ
でも私は、理久さんの言葉がすごくすごく嬉しかった。
本当の常務を知る人がまたひとり増えて、しかもその常務を好きだと言ってくれてるんだ。
よかった……。
こうやって少しずつ、本当の常務を認めてくれる人が増えていったら、私はとっても嬉しい!
常務も理久さんの言葉を意外に思ったのか、ちょっと目を見開いてきょとんとした顔をしている。
「だが、俺に余計な労働を強いたお前らにはそれなりに責任をとってもらう」
理久さんはすっかりいつもの調子に戻って、腕を組んで仁王立ちをした。
「せ、責任……?」
今度はなにを言い出すの!?
私は理久さんの不敵な微笑みについ身構え、息を飲んで次の言葉を待つ。
そして常務よりも少し背の高い理久さんは、私たちを見下ろして、尊大に言い放った。
「この先1週間、セレモニーを成功させたかったら馬車馬のように働けよ」
はっ!
そ、そのセリフ、どこかで聞いたことありますー!
私はその強烈なデジャヴに身震いし、またここから何かが動き出す予感に、小さく高鳴る胸の音をひとつ聞いた。