俺様常務とシンデレラ
***
かくして、私は晴れて(株)葦原ホールディングスに就職し、秘書室に配属された。
私のボスは、もちろん、あの夜に出会った黒髪の王子様。
知る人ぞ知る、ひっそりと佇む小さなラーメン屋『猫丸』のアルバイトから一転、
日本屈指の大企業に就職し、王子様のようにイケメンで優しい常務取締役のもと、秘書として働いている。
私は、完全に浮かれていた。
それはたとえば、
0時になれば魔法は解けると知っていながら、そのことを忘れて夜通し遊び呆け、美味しいものをお腹いっぱい食べ、その魔法が永遠に続いていくと勘違いしたマヌケなシンデレラ。
シンデレラは1週間後、王子様の本性を知り、夢が覚めてしまったことに気付いたのですーー。