俺様常務とシンデレラ

「俺が好きになったのは、このアンクレットを持った小さな女の子じゃなくて、秘書としてもう一度俺の前に現れたお前だよ」


常務はそう言ってアンクレットを私に差し出した。


「な、なな、なんでこれ……!」


私これ、エレナちゃんにあげたはずなのに!

なんで夏目さんが持ってるの!?


私は次々と思い出す事実と合わせてひどく混乱し、アンクレットを受け取ることもできずに一歩後ずさる。


「あなた、それ、エレナにあげたんでしょ?」


おろおろする私の疑問に答えたのは、夏目さんと並んで立つ小鞠ちゃんだ。

午前中のウエディングドレス姿もすごく素敵だったけど、やっぱり小鞠ちゃんには黒がよく似合う。


真っ黒なドレスと髪が、彼女のしなやかな手足や雪のように白い肌を際立てるのだ。


「エレナがある人からアンクレットをもらったって嬉しそうにしてたから、気になって聞いてみたの。彼女、同級生だから」


腕を組んで淡々と説明する小鞠ちゃんは、よく見ると理久さんにそっくりだ。


言われてみれば確かに、エレナちゃんの着ていたお嬢様学校の制服と、駅で会ったときの小鞠ちゃんの制服は同じだったかもしれない……。
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