俺様常務とシンデレラ

「……この前は、ひどいこと言った。わるかった。だけど俺はお前ほどまっすぐじゃないし、"運命"とか、今ではもういまいちピンとこない」


常務は私の左手をしっかりと握ったまま、真剣な表情で眉を寄せて言う。

私がコクコクと頷きながら聞くと、照れたように笑ってから、子どものように唇を尖らせた。


あ、その顔、ちょっと可愛い……。



「俺はお前を2度も見つけた。これから先も、たとえ何度見失うことがあっても、何度でもまた見つけ出す」


まっすぐに告げられた言葉に、私はついにぼろぼろと涙を流して常務に抱きついた。


「じょーむー!」

「ぉわっ」


勢いよく飛びついた私を受け止めて、常務が床に尻もちをつく。

わんわんと泣く私の背中を、常務の大きな手のひらが優しくなでる。



「だからお前、いい加減その"常務"ってのを……」

「大和さん大好き!」

「くっ……」



ぶーぶーと文句を言おうとする常務を遮ってすかさずギュッと抱きつく腕に力を込めれば、常務がなんだか変な声を出す。
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