俺様常務とシンデレラ
The Enchanted Cinderella
「ええー、俺、ゲームがいいって言ったじゃん」
今日は俺のせっかくの10歳の誕生日だというのに、よくわからない教会のリサイタルに連れて来られた。
なんか、とーちゃんの仲良しの人がやるから、行ってこいとかって。
「ゲームはお家に帰ったら、お父さんにもらいなさい。お母さんからはこれよ」
るんるんと子どもみたいに笑うお母さんは、『特注の誕生日プレゼントだ』ともったい付けておきながら、ピンクゴールドのへんてこな輪っかを俺にくれた。
「これはね、アンクレットと言うのよ。ほら見て、リボンが付いてるでしょ? このリボンにはね、大和が『好きな人と永遠に結ばれますように』って魔法をかけておいたの」
「ふーん」
俺がそのあんくれっととやらを指で摘まんで唇を尖らせると、お母さんが俺の前にしゃがみ込んでポンポンと頭をなでる。
なんだよ、やめろよな。
ここは他の人もいっぱいいるんだゾ。
とーちゃんに怒られても知らねえからな。
「あのね、大和は今日10歳になって、これから葦原の息子として肩肘張るような思いも、苦しい思いも、たくさんするかもしれない」