俺様常務とシンデレラ
「いたっ!」
そのとき、俺の背中に小さな衝撃があり、後ろで女の子の声がした。
俺の耳はその声に、なぜかぴーんと反応する。
なんとなく、だけど。
俺はこの声を、たとえ20年後だろうと、いつまでも覚えているような気がする。
根拠はないけど、確かな自信だ。
まあ俺の人生の経験から言えば、大抵のことはそんなもんだ。
確かな根拠なんてないけど、俺は俺が感じたことを信じる。
それをお母さんが"運命"と言っているなら、俺もいつか、根拠もなしにバカみたいに信じられる"運命の相手"を見つけられるかもしれない。
いや、きっと見つけるだろう。
だって、俺が探して、俺が決める運命なんだから。
俺はそんな不思議な予感と微かな胸の高鳴りに誘われて、ゆっくりと振り返った。