俺様常務とシンデレラ

おまけ②








かっこわるいところだって、誰よりも好きでいたいから。



***



「は? 今、なんて言った?」


フローリングに敷かれたカーペットの上に座り、部屋の主である大和さんがどかりと腰掛ける大きなソファに背中を預けていた。


くくく。

おもしろいなあ、この芸人さん。


私は今、お腹もいっぱいに満たされて、テレビのバラエティ番組を見るのに忙しい。

だからテレビ画面に視線を定めて後ろを振り返ることなく、さっきと同じ説明を繰り返した。


「だから、理久さんに言ってみたんです……ふふふ……私もアジュールで甘〜い夜を過ごしてみたいなあって。あははっ……そしたら、理久さん、ディナーもお部屋も全部ふたりぶん予約してくれて」

「……ふたりぶん?」

「はい、もちろん。だって、ひとりで行くより、ふたりで行った方が断然楽しいじゃないですか」
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