俺様常務とシンデレラ
大和さんのあんまりな勘違いに大慌てで否定すると、彼は明らかにほっとしたように息をついて、だけどすぐに、
「……わかってる」
とだけ拗ねたように口にして、ソファに仰向けに寝っ転がった。
いつも私を優しく抱きしめてくれる腕で、目元を覆っている。
なんだか様子のおかしな大和さんに、私はテレビを消して膝を揃え、ソファに横たわる彼に向き合った。
すると目元を覆っているのとは反対の腕が伸びてきて、私の後頭部を捉えると優しく引き寄せる。
大和さんの硬い胸から伝わる柔らかい鼓動に耳を澄まして、そっと目を閉じた。
「……キリがねえな。お前が他の男と話すのを見れば腹が立つし、笑いかければ焦りさえする。お前の口から他の男の名前を聞くだけで、かっこわりいほど動揺する」
私は頬が熱くなるのを感じながら、ちらりと大和さんを見上げた。
大和さんっていつも、もっと意地悪な人で、ふたりきりになっても甘い台詞なんて言ってくれない人だ。
だからこれも、私を喜ばせようと思って言ってるわけじゃないってわかってるけど……
どうしても、頬が緩むのを止められない。