俺様常務とシンデレラ
自分がからかわれることに慣れないのか、大和さんは不機嫌そうに唇を尖らせる。
「きゃ!」
だけどそれも一瞬のことで、ソファの上でくるりと態勢が入れ替わる。
いつものように彼を見上げれば、いつものように意地悪な顔をした大和さんが私を見下ろしていた。
「あっ……まって……!」
大和さんの手が私の服の上を確かな意志を持って滑っていく。
耳たぶを唇で挟まれれば、身体が小さく震えて体温を上げる。
ま、まだお風呂入ってないのにーーー!
「というかお前、いつの間にあいつと連絡をとった」
「あ、あいつって、理久さんのことですか……あっ!」
首すじに軽く噛みつかれて、いとも簡単に上がる自分の甘い声に恥ずかしくて涙がこみ上げる。
「こうしてるときに他の男の名前を呼ぶな」
大和さんはそう言って、まるで私が悪いと言わんばかりに攻撃の手を強める。