俺様常務とシンデレラ
私たちは手を繋いでくるくると回り、男の子の黒い瞳が星のようにキラキラと輝いていた。
そして音楽が止まったとき、男の子の手の中にはピンクゴールドのアンクレットがあるのだった。
あまりに幻想的でキレイな夢で、目が覚めたときにはため息が出た。
私って、意外と妄想力豊かなんだ。
だけどその夢のことが気になって、夢を見た次の日から毎日このアンクレットを身につけている。
左につけようと思ったのは、夢の中の男の子がそう言ったような気がしたからだ。
この夢を見たのは一度だけだったし、日が経つにつれて思い出すことも少なくなった。
だけど、夢を見た次の日は、お酒に酔ってフラフラと歩きながらこの夢のことを思い出していた。
黒いベストを着た、男の子の背中。
今ではもうぼんやりとしか思い出せない。
あの夜、その背中を鮮明に思い出した瞬間、私がぶつかったのは背の高い常務の背中だったんだ。