俺様常務とシンデレラ
「い、いきなりクビだなんて……! まだ1週間しか経ってないじゃないですか!」
「ああ、そうだ。この短期間でどうやったらそれだけアホなミスを連発できるのか逆に不思議なくらいだ」
「じょ、常務は甘党だから、いつも朝のココアには砂糖を半分入れるんですよね! もう覚えましたよ!」
「砂糖を半分入れてくれと頼んだらお前は何を思ったのか、角砂糖をハサミで切ろうとしてたな。アホか。普通はスティックシュガーを半分だけ入れるだろ」
うっ、や、ヤバい……!
弁明すればするほどダメな部分が明るみに……!
取りつく島もないその様子に、何か私がこの人の役に立ったエピソードはなかったものかと、必死で頭を巡らせる。
「あっ、この前の会議の資料! 常務が言っていた数より多めに準備してたから、突然足りなくなってもちゃんと対応できました!」
「そりゃ、お前が数を間違えただけだろ。しかも資料は全部右閉じだったしな」
そう言いつつ掴んでいた私の腕を離すと、常務は何かを思案するようにもう一度腕を組んだ。
そのことに、ひとまずホッとする。
掴まれた腕を引っ張られて、そのまま会社から放り出されるんじゃないかと思った。
お怒り常務、恐るべし。