俺様常務とシンデレラ
spell2: Only you are seen!

秘密のシンデレラ







金曜日の夜。

私は王子様にエスコートされ、華やかなパーティーの只中にいた。




「やあ、久しぶりだね、大和くん。ちょっと見ないうちに立派になったな〜」

「おやおや、大和くんじゃないか! 取締役になったんだって? 葦原会長に扱かれてるかい?」

「まあ、大和さん! 父がいつもあなたの話をするのよ、今度うちの屋敷にも遊びにいらして」



すれ違う人はみんな王子様に声をかけ、ひとしきり話し込んでからこう言うのだ。


「ところで、お隣の女性は? 見ない顔だね」


どうやらこれがうちの腹黒外面王子の言っていた、"時間外勤務"とやららしい。


「僕の秘書の佐倉です、小幡(おばた)社長。素敵な女性でしょう?」

「秘書! こりゃまた、べっぴんさんを選んだなあ〜。可愛らしい人を連れてるから、恋人かと思ったよ」

「いえ、まだ恋人ではないんです。なかなか振り向いてもらえなくて……」



もっ、もうやめてーーー!

みんなお世辞ばっかり!

こんなキラキラ王子の隣にいて私が可愛らしく見えるもんですか!

私なんてせいぜい侍女その4くらいなもんですよ!
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