俺様常務とシンデレラ
「礼状が必要な相手をリストアップしておいてやったんだ。明日までに終わらせろ」
「え!? これ全部ですか!?」
横暴な第二王子……
じゃなくて、常務の無茶な命令に驚いてリストに目を通せば、その多さにクラクラしてくる。
「クビがイヤなら馬車馬のように働けよ」
役員用デスクの向こう側で、腕を組んで仁王立ちをする私のボス。
その後ろの壁一面の窓からは、高層ビルが立ち並ぶ街並と、突き抜けるような7月の青い空が見える。
その中でも一際高いこのビルのように、尊大に立ち塞がる常務は、私を見下ろして意地悪そうに笑った。
「わ、わかりましたよ! 常務がびっくりするくらい、めちゃくちゃいっぱい働いてみせます! その代わり、コレができたらクビは取り消してください!」
私が手にしたリストをバシッと突きつけながら言うと、常務は喉の奥でおかしそうに笑って、私の肩をぽんっと叩いて部屋の出口へ向かう。
「お前は字がキレイだからな、さぞ美しい礼状がたくさん完成するだろうよ」
今にも高笑いをしそうな口振りでスタスタと歩き、ドアの前でくるりと振り返った。