俺様常務とシンデレラ
うわー、びっくりした。
寝起きにしては俊敏な動きだったけど、眠っていたわけじゃないのかな?
いきなりバカって言われちゃった……。
私はドキドキと速度を上げる鼓動を聞きながら、ソファに座る男性の綺麗な顔を改めて眺めていた。
開かれた瞳はキリッとした切れ長で、伏せられたまつ毛はうんと長い。
少しやつれているようにも見える、小さくて痩せた顔と合間って、神経質そうな厳しい印象を醸し出している。
だけど目の前の男性はどこを見ても綺麗なところばかりで、細くて繊細な指先や、組まれた嫌味な程に長い脚は、この人に抗い難い魅力を持たせる。
なんて言うか、大人のオトコって感じだあ……。
男の人なのに、すごくセクシーで、ストイックな香りがぷんぷんする。
「……なに?」
「えっ、あ、ごめんなさい……!」
息を飲んで彼の顔をまじまじと見つめていたら、鋭い瞳に睨まれたので、慌てて隣に腰を下ろす。
うむ……。
き、気まずい……。
わざわざ場所を空けてくれたんだから、邪魔だとは思われてないだろうけど。
……思われてない、よね?
「あんたもパーティーとか嫌いな人?」
微妙な居心地の悪さから身を縮こませる私に、隣の男性が低く問う。