俺様常務とシンデレラ

私は、あなたが好きだから。


あなたにキスをされたら、それを拒めるほどには強くない。

それどころか、もっともっと好きになる。


だからあなたが同じ気持ちを返せないと知ってるなら、もうこれ以上好きにはさせないで……。



「はあ?」

「むぎゅう」


常務の表情を見るのが怖くて唇を噛み締めて俯いていると、片手で両頬をガシッと挟まれ、顔を上げて強引に目を合わせられる。


人の渾身の告白に対して、『はあ?』ってなに!?

くそう!

手を離せ乱暴者ーーー!


「"心に決めた人"って誰だよ。何の話だ」

「らって、じょーむが、ひ、秘密のシンデレラって……」


常務は片方の眉の端をクイッと上げて、本当に何を言ってるのかわからないという表情だ。

しばらく怪訝な顔で思案して、ふと思い出したように、掴んでいた私の頬を解放した。


「まさか、篠崎さんに言ったやつのこと言ってんのか?」


私は神妙な顔をして、こくりと頷く。


「むきゃあー!いひゃい!」


すると常務は、今度は両手で私の丸い頬をつまんで、びよーんと横に引っ張る。
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