胡蝶蘭
『そうですか。』
超一般市民の父と母は、ありえないほどの
心配症だ。
仕事の都合で海外に二人しているわけだが
海外に行かなければならないとなったとき、
日本に残ることをかなり反対した。
きっと銃で撃たれたとなれば
何が何でも海外に連れて行かれるだろう。
けどそれはやめてほしい。
海外といっても、フランスだとか
ドイツだとか固定されるわけじゃなく
あちらこちらに飛び回らなければならない。
そんな生活疲れるしごめんだ。
お婆ちゃん…母の母だが
それをよくわかっているからきっと今回も
うまいこと両親に伝えてくれるだろう。
『ここはどこですか。』
黒で統一された洋室。
大きなテレビ、ソファー、そしてあたしが寝ている黒のキングサイズベット。
いくつもある扉。
ーーーーーー無駄に広いな。
そんなあたしを見て、男は少し戸惑いを
見せたあとに、
「俺の家だ。」
とだけ言った。