胡蝶蘭
こぼれ落ちた低音ボイスに
なるほど。と思った。
たしかにこの容姿ならホステスさんたちが
騒ぐのもわかる。
『そうでしたか。
傷の手当とかありがとうございました。』
一応うちのお店だって
西園寺さんのとこの管轄にあるんだ。
礼儀正しくしなきゃね。
そう思ってペコリと頭を下げーーー「いやいやいや!瑞貴ちゃん!?
普通驚くとこだよ!?」
ーーーーー。
下げようとしたところで
うるさい誰かが部屋に入ってきた。
「紫苑。」
ふぅと西園寺さんがため息をつく。
それに気づいているのか
気づいていないのか
わからないけど紫苑さんは
ケラケラと笑いながら続ける。
「嫌だってさ、普通驚くとこだよね!?
あ、もしかして瑞貴ちゃん西園寺しらない?
いや知らないのにもびっくりだけどね!?
知らないなーー『いや知ってます。』
だよね!?ほら知ってるんでしょ?
なのになんで驚かないの!?」
ーーーーー。
この人めんどくさい