胡蝶蘭


梨花さんをお店から送り出し、
ふと外を見ると雨が降り出していた。


あぁ今日は嵐の夜になるなー
なんて思っているといつの間にか店長が
いなくなっていることに気がついた。

おそらく雨のせいで髪が崩れた人
たちのために出張に向かっているのだろう。


そのくらいにしかかんがえず
じゃあ表の花と花中に入れるのは
自分しかいないじゃないかということに
ようやく気がついた。

ちらりと時計を見れば時刻はもうすぐ9時だ。

今日はお客さんもうこないかなー
なんて思いながら表に出た。



ザーーーーーー


来るときは雨なんか降ってなかったのに
やっぱり梅雨は嫌いだ。

耳障りな大音量の雨音をききながら、
大きな花の鉢植えたちを
屋根の中に避難させる。


店長の趣味でうちの店の前は
花だらけなのだ。


それらを全部屋根の中に避難させたあと
お店の中に再び入る。


と、ここまで来て気がついた。


『胡蝶蘭じゃん。』

店の玄関にはいつからあったのか
ひっそりと胡蝶蘭がおいてあった。

花言葉なんてしらないけど
あたしは胡蝶蘭がすきだ。
この儚い感じがなんとも言えない。


ふふふと、微笑みながら店の目立つとこに
飾ろうと思い胡蝶蘭を抱き上げ、
あたしは飲み物でも飲もうと店の奥に入った。




その時。



ーーーーーーーーガシャーン
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