風を切る君

ここにきた理由



重い口を一哉は開いた。

「親父が…死んだんだ。」

「!!?おじ…さんが…」

一哉のお父さんと私のお父さんは
とても仲が良くて、
私たちが知り合ったのも
お父さん繋がりだった。
おじさんは、とても
明るくて、正義感が強くて
私のお父さんとは真逆の人だった。
私はおじさんのことが大好きだった。
そんなおじさんが…死んだ。

「交通事故で…」

「そう…だったんだ…。」

下を向いて、泣くのを我慢してる
一哉を見て私も目に力が入って
泣きそうになる。

「それで、じいちゃんと住むことになって、この学校にきた。」

一哉がそんな大変なことに
なってるなんて知らなかった。
そんな悲しい顔をするように
なってたなんて知らなかった。

「ごめん、一哉…」

「謝んなよ…」

「もう一つだけ聞いていい…?」

そう言った私のほうを
ふいに見た一哉。
目と目があった瞬間。
私の口から自然に出てきた言葉。

「どうして、私の前から消えたの?」

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