星の砂
そんなある日、女の子は光の当たらないひっそりとしたところに、男の子が膝を抱えて踞っているのを見つけました。
最初は知らんぷりをした女の子でしたが、遊んでいたネコさんがその男の子に寄り添って眠り始めました。
女の子はびっくりしました。そのネコさんは人見知りが激しく、同じネコさんなのに他のネコさんが嫌いでした。
そんなネコさんが、その男の子の隣で寄り添って寝ているのです。
女の子は一度は知らんぷりした男の子にねえ、と声をかけました。
すると、男の子はびくっとした後、恐る恐る顔を上げました。
女の子も同時に驚きました。なんと、男の子の目は空色をしていたからです。お空の色と同じ色。綺麗でキラキラと光っているように見えました。
男の子はぼーっと女の子を見上げていましたが、また顔を下げてさっきと同じ体勢に戻ってしまいました。これには女の子は怒りました。
無視されてしまった女の子は男の子の前にずんと立つと、真っ正面に膝を抱えて座りました。
男の子はその物音にびっくりしてまた顔を上げました。今度は女の子はすかさず話しかけます。
あなたはだぁれ?
……。
お名前は?
……。
男の子は1つ目の質問に首を傾げた後、2つ目の質問に首を横に振りました。
女の子は何も喋らない男の子にカチンときましたが、思いきって言いました。
トモダチになって!
……トモ、ダチ?
そう、トモダチ。
……トモダチ。トモダチ。
男の子はずっとトモダチ、トモダチと繰り返し繰り返し呟きました。
やっと喋ってくれた男の子に女の子は満足しましたが、男の子の言葉で笑ってしまいました。
……ボクの、ナマエ、トモダチ?
女の子は大笑い。確かにトモダチになってとは言いましたが、名前をトモダチにしろと言ったつもりはなかったのです。
だから、その変な言い方に女の子は笑ってしまったのです。
男の子はそんな女の子に構わず、嬉しそうにボクは、トモダチ!と何度も言っては跳びはねました。
これは女の子も隣で寝ていたネコさんもびっくりしました。でも男の子があまりにも嬉しそうで女の子も嬉しくなって、ずっと一緒に跳びはねました。
それから2人は、トモダチになったのです。