運命の二人~白と黒の物語~
凛々は自分の気持ちが分からなかった。


この人は。私の大切なものを奪った張本人だ。
私の全てを奪った。憎んでも憎みきれない。


なのに、この人はいつも優しい。



私を見る目は辛くなるほど切ない。



それでも。今も私を慰めようとしてくれている。


彼の包み込むような優しさに触れると、ずっとこうしていてほしいと思う自分もいるのだ。


私がタロを大切に思うように、この人も大切にしたいものがあるんだと思う。



お互いに大切にしているものが違うだけ。
それを責めるなんて、私には出来ない。


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