運命の二人～白と黒の物語～
「あぁ！楽しかった！もう踊れない。」

凛々はハアハアと息を切らしながら、ジャスティスに向き直った。


「今日は本当にありがとう。凄く楽しかった、です。」


ジャスティスが黙っているのを不思議に思って凛々は名前を呼んだ。


「ジェット？」

凛々が小首を傾げてジャスティスを見上げている。
ジャスティス心臓が早鐘を打ち始める。


「敬語はいらない。君は私の許嫁だから。」


「う、うん。分かった。ジェット。疲れた？様子が変だよ。」


凛々の優しい気遣いが逆に胸を苦しくする。


(私に優しくしないでくれ。そんな友を見るような目をして)


「ああ、大丈夫だ。リリー･ルゥ、君は？」


「うん、大丈夫！凄く楽しかった。」


いつもは俯き加減で喋るのに、今日はジャスティスを真っ直ぐに見て、にっこりと笑顔を見せる。


その顔を見る度、ジャスティスは言い様のない甘い、切ない気持ちにさせられた。


(この、押さえられない感情はなんだ？)


「ジェット？やっぱり変だよ。具合が悪いの？」

そう言って凛々がジャスティスの頬に手を伸ばして触れた。


もう押さえられない。


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