運命の二人~白と黒の物語~
約束の公園に着いたのは私のほうが先だった。


ベンチに腰をおろす。


サーっと優しい風が吹いた。
私はこの季節が大好きだ。木々や草花はどんどん緑を濃くして、爽やかな香りを風に乗せて運んでくる。


(もうすぐ制服、衣替えだなぁ)と考えながら目を瞑って風を感じていると、

「お待たせ。」
と声がした。


私は急に現実に戻されて「う、ううん。今来たとこだよ。」
少しどもりながら返事をした。


武志も前回と同じように、隣に腰をおろすと
「…マジ、やばい。」
と呟くのが聞こえた。

「え?何がやばいの?」と聞くと

「山下さ。今何考えてた?」

「え?えっと風が気持ちいいなーとか、衣替えだなーとか?」

「そういう物思いにふける時の顔、別人だよな。…今分かった。俺、その顔にやられたんだな。今も、すっげー可愛かった。」


…武志って。思った事すぐ口に出すタイプなんだね。

普通、恥ずかしくて言えないでしょ、その台詞。

顔が熱くなるのが分かる。何て返答すればいいのか、分からないよ。



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