運命の二人~白と黒の物語~
「最近、ですか。特に変わった様子はありませんでしたが…。


…そう言えば。
先日の授業で“森”について話をしたのですが、いつになく熱心に話を聞いたり質問していたりしましたが。」


「多分それだろう。」
ジャスティスは結界の穴を見つめながら答えた。

「理由は分からないが、興味をひかれたんだろう。このところ、心ここにあらずだったからな。」最近の凛々の様子を思いだし、苦笑した。


思いついたら直ぐに行動するんだな無鉄砲な人だな。私の愛しい人は。


「もし、森に行ったのであれば危険です。急ぎませんと。」


「ああ分かっている。ウルフファングをここへ。兵士も何人か連れて来てくれ。」


「は!直ちに。」


バルゴはテキパキと指示を出して、部隊の精鋭とウルフファングを揃えた。


待つ間、ジャスティスは考えた。


森と言っても広い。自分の居場所さえ、狂わせる世界だ。凛々はどこへ向かったんだろう。
行きたい場所があるとすれば、思い付くのはひとつだけだ。しかしあの場所は…



「ジャスティス殿下。何時でも出発可能です。」

ジャスティスの側にウルフファングを引いてバルゴがやって来た。


ジャスティスは素早く妖獣に股がり、慎重に手袋を外すと号令をかけた。

「行くぞ!」


ジャスティスのウルフファングが走り出すのと同時に、一斉に部隊のウルフファングも走り出した。





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